※ 「今月の衛星画像」 2020年のテーマは カラーコンポジットの世界 です ※
 Vol.22
−07    2020年07月号

ミシシッピ川メンフィスの洪水 正規化水指標で冠水域を見る

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS
衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSAT
の場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。またLANDAT8画像については産総研のサイトも利用しています。
SPOT
の場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学やUSGSのアーカイブデータを使用することもあります。

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 2020年のテーマは カラーコンポジットの世界 です


※写真や画像の引用に関する問い合わせは、こちらのリンク先ページをご覧下さい。


     
  LANDSAT の光学センサーは、紫外線の領域から赤外線の領域までいくつもの波長帯に分けて観測する。この波長の特長をいかして地表の情報を可視化することができる。図@は。LANDSAT 8のOLI (Operational Land Imager) センサーで、各波長帯が分担する役割のようなものである。

 波長帯ごとの特徴を使って、植生の活性度や水分量などを抽出する波長の計算式というものがいくつも提唱されている。これらの式は、基本的に2種類の波長における反射率の違いを強調するる(AーB)/(A+B)という式をベースとして使う。よく知られている正規化植生指標NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)という指標は、緑色の植生の多少や活性度の違い示す指標である。緑色に見える植物は、IR(赤外線)を強く反射し、R(赤色)を葉緑素によって吸収するという反射特性を利用している。この違いを強調するため、NDVI=(IR−Red)/(IR+Red)の値を計算する。さまざまな指標があると先に述べたが、今月の画像で見せるのは、NDWI(Normalized Difference Water Index)正規化水指標というもので、NDWI = (RedーSWIR)/(Red+SWIR)という計算式で求める。これにより、地表面における水域を強調できる。洪水による冠水域などの抽出に利用できる。

 図*は、2019年2月に起こったミシシッピ川の洪水を例に、この値を計算して画像化したものである。画像の北東に見える都市はテネシー州メンフィスである。メンフィスは世界最大の綿花と木材の集散地といわれるミシシッピ川に面した人口65万人の都市である。
NASAの次のページに、2019年2月の洪水に関する記述がある(https://earthobservatory.nasa.gov/images/144598/early-flooding-along-the-mississippi)。ここで示された2月25日の画像をUSGSからダウンロードして正規化水指標の画像を作成したものが図++である。
     
     
 図1 メンフィス周辺の洪水  2019年2月25日 LANSAT 8 RGB:432    
     
図2  洪水時(左)と平時(右)の正規化水指標画像 画像は、2019年2月25日と2020年3月13日に取得されたデータ。スケールは図1を参照のこと。