※ 「今月の衛星画像」 2024年のテーマは 日本の絶景 です ※
 Vol.26
-06    2024年06月号

「越後三山と巻機山」 

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 越後三山(えちごさんざん)は新潟県南東部に位置し,駒ヶ岳(標高2,003m),中ノ岳(標高2,085m),八海山(標高1,778m)の三つの山をいう.別名「魚沼三山」とも呼ばれ,その山頂周辺には晩夏まで残る雪田や,雪崩によって削られた急峻な岩壁,鋭い山稜,そして谷底に広がる越年性の雪渓が見られる.これらの特徴により,新潟県内では谷川連峰と並んでアルペン的な山容がみられる.特に八海山は信仰の霊山としても知られ,1973年に越後三山只見国定公園に指定された.駒ヶ岳という名称は各地にあることから,魚沼駒ヶ岳と呼称されることもある.駒ヶ岳は,地形図を見ると岩場の記号が特に多いのが特徴で,山頂付近や尾根は丸みを帯びているが,山腹は岩壁が連なっている.こうした斜面は滑り台のような形状をしていることからアバランチシュートと呼ばれるもので,積雪の多い日本海側の山地でしばしば形成される雪食地形の特徴である.なお八海山,駒ヶ岳,中ノ岳の名前の由来は以下の通り.

八海山(はっかいざん):   八海山の名前の由来には複数の説があるが,代表的な説としては,山頂付近から遠くに広がる美しい景色が,まるで八つの海が見えるように広がっていることから名付けられたという説がある.

駒ヶ岳(こまがたけ):   駒ヶ岳の名前は,その山容が駒(こま)のように小さな山々の集まりに見えることに由来する.駒のような形状をしているという意味である.

中ノ岳(なかのだけ):   中ノ岳の名前は,地理的な位置関係から来ている.周囲の山々の中で位置が中心的であることから,「中ノ岳」と名付けられた.

これらの山々はそれぞれの名前に特有の意味があり,その名前が地域の歴史や地形に対する人々の感性や認識を反映している.

 巻機山は日本百名山に選定されており,新潟と群馬の県境にまたがる.頂上付近には豊富な高山植物が群生し,神秘的な池塘群や原生林が広がっている.これらの緩斜面の地下には,岩屑層が厚く堆積している.こうした地層は標高1400m以上で確認されていて,最終氷期の周氷河作用で生産,堆積されたものであると考えられている.

 山頂から西に下る割引沢は美しい風景が広がり,名瀑や奇岩が点在する.巻機山の名前の由来は,頂上一帯がかつて「御機屋」と呼ばれ,美女が機を織っていたという伝説によるものである.山麓の大木六村には機織りの女神である栲幡千々姫命が祭られており,巻機権現として崇敬されていた.

 本稿は,「百名山の自然学 東日本編」 清水長生編 古今書院,2002年 ほかを参考にまとめました

 

図1 越後三山と巻機山   Sentinek2 2024年6月15日 RGB342  
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図2 関越自動車道上り車線から見た越後三山 2024年4月撮影
図3 巻機山割引沢の雪渓 1977年8月撮影
図4 緩斜面地下の岩屑層  1977年8月撮影