※ 「今月の衛星画像」 2021年のテーマは アメリカ大陸の山地・山脈 です ※
Vol.23−06 2021年06月号
「ペルー 中央アンデス
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ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。またLANDAT8画像については産総研のサイトも利用しています。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学やUSGSのアーカイブデータを使用することもあります。
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ここ数か月にわたって登場しているアンデス山脈は、南アメリカ大陸の西側に沿って南北7500km,幅750kmにわったて続く世界最長の山脈である.この山脈には6000mを越える高峰が20座以上ある.今月扱うペルーは、南アメリカ大陸の西岸が西に向かって突き出ている様にみえるあたりにある.ペルーではこの西に突き出る部分に広い平野があるが,それ以外は細い海岸平野が続く.小縮尺な地図で見ると,アンデス山脈がほとんど海岸まで迫っているようにみえる(地図0).アンデス山脈を越えた東側はアマゾン川の上流域となる広大な熱帯林が広がる. ペルーを縦断するアンデス山脈は中央アンデスとよばれ,海岸沿いの西部山脈とアマゾンに面する東部山脈,そしてその中間の中央山脈に分かれ,それぞれ南北に並行して伸びる.ペルー北部においてはアンデスの幅は南部に比べればそれほど広くはなくアマゾン川の源流のいくつもの河川が刻む深い縦谷により数条の並行する山脈に分けられ,山間には盆地や高原が発達する.また南部には多数の火山が分布している. 画像◯で氷河に被われた部分はペルーで3番目に高い山であるコロプナ(Coropuna)火山である(地図1).コロプナは活動記録のない成層火山で,標高6377mである.この南東斜面には南斜面の下部に開いた細長い馬蹄形の凹地状の谷が見られる.谷壁上部は切り立った急崖で囲まれており谷底は不規則に凸凹しているようにみえる.この部分は形状から火山斜面に生じた大規模な地すべりか崩壊地形であろう(地図2,画像1〜4).南西側の崖下に町ができており,チュキバンバ(Chuquibanba)という.この地域の写真がGoogleMapから拾えるが段々畑状の耕作地がみられる場所もあるらしく地すべり地の景観に似ている(写真1). 画像5は画像1の南東部にみられる規則的な区画を拡大したものだ.この地域はマジェス(Majes)という地域であるが,1988年までは砂漠であったということで,扇状地の伏流水をくみ上げた灌漑農業がおこなわれてるようだ. 衛星画像で見るペルーは多様な地形がそこかしこにあり興味が尽きない.時間と資金と安全が確保されればぜひ訪れてみたい場所だ. --------------------------------−−−− 本稿は,マイクロソフトエンカルタ,ロゴビスタ辞典,ウィキペディア を参考にしてまとめました. 地形図はUniversity of Texas Librariesから引用した1/100,000地形図を加工しました. |
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インデックスマップ | 地図0 衛星画像の位置はペルー南部のアンデス山脈にあたる。 背景の地図はESRIMapによる |
画像1 2021年4月28日取得,LANDSAT 8 RGB:652 | ||||||||||
画像2 コロプナ火山 青く見えるのは氷河 | 地図1 コロプナ火山の最高峰はいちばん北のピーク | |||||||||||
画像3 チュキバンバは,コロプナ火山南斜面にある大崩壊地にある集落 | 地図2 チュキバンバのある幅の広い谷. | |||||||||||
画像4 カラー合成画像(解像度30m,左上)とOLIバンド8(解像度15m,左下)を使ったチュキバンバのシャープニング画像 | ||||||||||||
写真1 チュキバンバの景観(Google Map から引用) | ||||||||||||
画像5 マジェスの灌漑農地 | ||||||||||||