※ 「今月の衛星画像」 2009年のテーマは 街、都市 です ※

Vol.11−03    2009年03月号

ダマスカスDamascus世界で最も古くから人が住み続けている都市 

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2009年のテーマは、「街、都市」です。衛星画像を使って、世界の街や都市を見てまわりましょう。


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 画像1で西は地中海、中央やや下にみえるのは、イエス・キリストが荒れ狂う海を沈める奇跡をおこない、また人びとへの説教を行った地として知られるガリラヤ湖(Sea of Galilee)です。その東にあるゴラン高原は、現在はイスラエルの占領地。その南から東にのぼる谷はヤルムーク川です。ヤルムーク川のさらに北東にみえるのいくつかの集落は、集村とよばれる形状をなしています。これらの集落を北にたどってゆくとたどり着くのがシリアの首都ダマスカスです。わたしは、陸路ヨルダンからタクシーを乗り継いでこの国に入ったのですが、最初の集落に入ったとたん国情を理解した気がしました。風景にはっきりと隣国との格差がみえました。
 さて、紀元前1000年ころのテル(遺丘)が近郊にあり、ヨーロッパから中東を経て東アジアへ通じる中継点として交易の中心であったことから、絶えることなく人々が住み続けてきたのでしょう、ダマスカスが世界で最も古い都市といわれるゆえんはそのあたりにあります。ダマスカスの地下には、さまざまな時代の都市が埋まっているのです。わたしにとって、ダマスカスはもう一度いってみたい街の一つです。旧市街地(オールド・ダマスカス)は、みようによってはアラブの魔都みたいなところ。スーク(市場)の奥は、古いアラブとはこのような街かと思うような場所です。おどろおどろしさがたまらない。
 現在の人口は約160万人といわれるのダマスカスは、シリアの首都であり国内最大の都市です。この都市は、アンティ・レバノン山脈とシリア砂漠にはさまれた「グータ緑地(オアシス)」とよばれるところに発達しました。古代から現代まで何千年ものあいだ、都市として繁栄したダマスカスは今も人や車が道路を埋め尽くしています。このあたりは、グーグルアースで眺めてみてください。黄色くみえる車は大部分がタクシーです。スークでは、あらゆるものを売っていて、揃わないものは無いといわれます。その気になれば爆弾やミグだって出てきそうな雰囲気はあります(まぁこれは冗談としても)。

                                                                      

        画像1 ヨルダンからシリアへ続く平原地帯をとらえたLANDSAT画像  2007/3
白くみえるのはアンティ・レバノン山脈などに積もる雪
画像2 平原地帯の集落  LANDSAT 2007/3
左端にガリラヤ湖、ゴラン高原
画像3 ダマスカス全域を見る 2007/3
写真1 ダマスカス市街地の西にあるカシオン山

ダマスカスは標高700m弱の高原の街である。カシオン山の山麓を這い上がるように市街地が広がっている。           2007年  長谷川均 撮影
写真2 こちらは旧市街地とよばれる地域

この奥がなかなかすごい
     2007年  長谷川均 撮影