※ 「今月の衛星画像」 2013年のテーマは 世界の森林 です ※

Vol.15
-03    2013年03月号

 ふかい緑の森 やんばる

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS
衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSAT
の場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOT
の場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学やUSGSのアーカイブデータを使用することもあります。

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 2013年のテーマは、「世界の森林」です。衛星画像を使って、世界の「三角州」を見てまわりましょう。


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 3月は、沖縄北部のやんばるがいちばん美しい時期だと思う。新緑がまぶしく、朝などに冷涼な空気を吸うと肺の中まで清められるような錯覚をおぼえる。それほど美しく緑が深い。夜、この森の中に閉じ込められたら、恐ろしさで死ぬか、美しさに彷徨い歩くかどちらかではないか などと、この2月にやんばるで車を走らせながら話をしていた。
 イタジイが優先する常緑照葉樹林がやんばるの森をつくっている。私などは名前も知らない大きなシダ植物もたくさんあって、雨上がりの森を歩くと思わぬ動物や鳥たちを見かけることもある。およそ人など住めないと思われるほど深いやんばるの森の中にも、この森が薪炭林として使われていたことを物語る炭焼きの跡を見かけることもある。
 少し前のことだが、友人が研究仲間とこの森に住んでいた人たちのことを本にまとめた。わたしはいたくこの本が気に入り「地図中心」という雑誌に紹介文を書いたことがある。それを引用して、今月はおしまい。


聞き書き・島の生活誌① 野山がコンビニ 沖縄島のくらし 当山昌直・安渓遊地 編
聞き書き・島の生活誌② ソテツは恩人 奄美のくらし 盛口満・安渓貴子 編                   ボーダーインク発行

 やんばるの森と対峙すると、圧倒的な美しさに感動する、しかし、透き間なく山を覆い尽くす木々を前に、少し恐いような気持ちにもなる。この山の中に、ユッパーという集落があった。明治末、大正の初めに人が住みついたが、昭和四,五年に人びとは追われて廃村になってしまった。たった二十年しか続かなかった集落。しかし、大正時代の地形図には、確かにこの場所に集落がある。ユッパーには、人の妻をこっそり連れてきた人、那覇から惚れた遊女を連れてきてしまった人、負債で追われて逃げてきた人などが住み山稼ぎをしながら、人情味のある暮らしが成り立っていたのだという。世間の競争を逃れた人たちが暮らせる上等な場所がユッパーであった。
 この2冊は、奄美、沖縄を拠点とする研究者達が、古い地形図や大きく引き延ばした古い空中写真を持参して、昔を知る人たちに聞き、書き記した記録である。沖縄編には5話、奄美編には8話の島の生活誌が綴られている。
 空中写真を見てもらうというやり方が、これほどうまくいっている例はないだろう。ご老人達が身を乗り出して空中写真を見、昔を思い出しながら語るようすが活写されている。売れ行きが良ければ刊行されるかもしれないという八重山編をぜひ読みたい。
 画像1 やんばるの森    1995年5月LANDSAT TM RGB:321モザイク
 
 写真1 やんばるの森 国頭村 2006年3月  写真2 森を開削して「シークワーサー」の畑にしている  大宜味村 2013年2月
   
 写真3 まだ現役の炭焼き窯  国頭村  2006年3月  写真4 マングース捕獲用のワナ  国頭村 2006年3月