※ 「今月の衛星画像」 2018年のテーマは 赤道をめぐる です ※
Vol.20-11 2018年11月号
「スラウェシ島パル 津波に襲われた湾奥の街」
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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。またLANDAT8画像については産総研のサイトも利用しています。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学やUSGSのアーカイブデータを使用することもあります。
2018年のテーマは、「赤道をめぐる」です。
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インドネシアのスラウェシ島中部にあり、スラウェシ州であるパル(Palu)は、人口は342,754人(2015年)の都市でパル川河口に開ける街である。赤道直下に位置するにもかかわらず、両側に山地があるため、気候は乾燥しているという。地図や画像を見てわかるように、パルは北から南に向かうパル川の沖積低地に広がる都市である(地図2)。この街は、2018年9月28日、マグニチュード7.5の地震と津波に襲われた。死者は2000人以上にのぼり、不明者5000人と推測されるも、捜索は打ち切られたと報道されている。 USGS(米国地質調査所)によれば、M7.5の震源は島中部のドンガラから北東27キロで(地図1)、震源の深さは10キロ。この3時間前にもM6.1の地震が近くであり、M5を超える地震が十数回も相次いだ。規模が大きかったものの震源が浅く、縦の揺れより横の揺れが大きかった。こうした揺れは通常、津波に発展することは少ないという。 今回の地震は断層面を境に水平にずれる「横ずれ断層型」だった。海底で断層が横ずれしても、上下方向のずれは少ないため、津波は起きにくい。日本の国土地理院による人工衛星の観測データの解析によると、断層は湾に沿って延び、その西側が南に、東側が北にずれる地殻変動が起きていた。パル周辺の横ずれは約5メートルと特に大きかった。パルでは地震で地滑りが相次いだ。現地を視察した専門家は、湾内の海底の斜面や沿岸部でも地滑りが何カ所も発生し、大量の土砂が海底に流れ落ちる勢いで付近の海面が上下に大きく変動し、津波が起きたと推測しているという。パルは、幅5~7キロ、長さ約30キロの細長い湾の最奥部にある。米国気象当局のデータによると、湾口付近は水深が200メートル前後。震源地付近で生まれた波が湾内で増幅され、大きな津波になってパルの浜辺を襲った可能性があると国内の専門家らが指摘している。 次のページには、Palu湾内にある潜水艦基地の津波被災前後の衛星画像が掲載されている。この基地は、湾の西岸にあり、湾奥から1/3ほどのところにある。 https://www.bellingcat.com/news/rest-of-world/2018/10/05/indonesia-submarine-quay-pier-damaged-tsunami/ 本文は、BBC日本語ページ(https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45715025),朝日新聞の記事を参考、引用してまとめました。 |
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地図1 BBC日本語版による | 画像1 2014年6月24日 RGB:432 | ||||||
地図2 OSMによるパル市街地 | 画像2 パルの市街地 2014年6月24日 RGB:432+8 |