※ 「今月の衛星画像」 2018年のテーマは 赤道をめぐる です ※
 Vol.20
−10    2018年10月号

モルディブ リゾートの影

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ADEOS
衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSAT
の場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。またLANDAT8画像については産総研のサイトも利用しています。
SPOT
の場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
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 2018年のテーマは、「赤道をめぐる」です。


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   世界的なリゾート地であるモルディブの最近のニュースは、暗いものが多いような気する。親中派大統領による政敵への弾圧、中国に頼った大規模な国土開発、焼却施設の無い「ごみの島」とそこで働く外国人労働者の処遇など、あまり芳しくない話が「リゾート地の影」として取り上げられている。2018年9月に実施された大統領選では、現職の敗北が伝えられたが、「国民の意思を受け入れ、円滑に政権を移譲するよう現職のヤミーン氏に呼び掛けたい」と当選者が呼びかけているという。当選者の思いが伝わりそうな気配であると報道は伝えているが、当たり前のことが当たり前に行えない状況にあるということが続いていたということだろう。
 モルディブの人口は、40万人程度、26の環礁や約1,200の島々から成り、約200の島に人が住むという。首都モレの人口は約12万人といわれるので、首都のある島(画像2)に1/4が集中していることになる。密度は非常に高く、居住環境は悪く、富裕層は空港島の北東側の人工島(画像2)へ移り住むという。
 首都モレの西にあるティラフシ島(画像2)は、通称ごみの島と言われる。モルディブには、焼却炉を持つごみ処理場が存在しないという。ティラフシ島は首都から運び込まれる膨大な量のごみを積み上げ、野焼きをしているという(https://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/26440d7efc1198bf97b82d278e764911)。本ページに示した画像には、野焼きの煙は鮮明ではないが、このサイトにある写真(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/6303/)には野焼きの煙が明瞭に写っている。また、興味のある方はGoogle Earthを見るとよい。 
 1,200の島々のうち、赤道のすぐ北にある大環礁を形作る島々は、マレなどと異なり植生が豊かな洲島からなる。温暖化に伴う海面上昇の影響で生じる海岸侵食から島を守るために、首都周辺の島々では島の周囲を強固な護岸で固める土木工事が進行していると報道されたことがあるが、人口の少ない辺境は置き去りにされているのだろうか。
 






  
   
   地図1   画像1 2018年3月17日    白枠は、画像1と2の範囲  
     
   画像2 2018年3月の画像 LANDSAT8 RGB:432+8  モルディブの首都はマレ(Male')にある。ティラフシ(Thilafushi)は、首都から出るゴミを一手に引き受けている通称ゴミの島。国際空港のある島の北東部は埋立が進み、首都から人々が移り住んでいる。  
     
   画像3 赤道のすぐ北にあるサンゴ洲島 ここでは植生がみえる。開発が進んでいるようにはみえない。