※ 「今月の衛星画像」 2011年のテーマは 世界の湖沼 です ※

Vol.13
09    201109月号

バイ湖とタール湖

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS
衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSAT
の場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOT
の場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2011年のテーマは、「世界の湖沼」です。衛星画像を使って、世界の「湖沼」を見てまわりましょう。


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 フィリピンの首都マニラ近郊に、フィリピンで最大の面積をもつ湖とフィリピンで最深の湖があります(地図1,画像1)。前者はバイ湖(バエ湖)(ラグナ湖(Laguna de Bay)ともいう)といい後者はタール湖(Taal Lake)です。タール湖は面積でも同国で三番目の広さをもっていて、首都圏から近いこともあり多くの観光客が訪れます。
 バイ湖の表面積は949km2ですが、平均水深は2.8mしかなく地形からみてもかつてはマニラ湾の一部だったのでしょう。この湖から流出するバシグ川はマニラを通ってマニラ湾に注ぎますが、逆流することもあるといいこの川をバイ湖に流れ込む河川としている文献もあります。いずれにしても流域の工場などから流れ込む汚水で水質が悪化し、養殖魚に被害が出ることがしばしばあるといいます。湖を拡大した画像には、生けすと思われる大きな矩形の区画がたくさん見えます(画像2)。
 いっぽう、タール湖はカルデラ湖です(面積250 km2、周囲長40 km、水深172m、画像3、写真1)。この湖ではテラピアの養殖が盛んだといいます。湖の中には、中央火口丘であるタール火山が湖面から300mの高さにそびえますがこのタール山の火口もまた湖になっていて(直径1.2km 水深80m)、二重カルデラ構造をつくっています(写真2)。この火山は、1572年から30回以上の噴火が記録されています。噴火で生じた割れ目に湖水が流れ込み大規模な水蒸気爆発が起きることが多く、最新の1965年の噴火ではベースサージによって2,000人もの死者が出たといいます。ここのところ活動が活発になってきており、2011年には避難勧告も出されたといいますが、観光業に依存する人も多く危険と隣り合わせで生活を続けているひとが大部分だというのが実態のようです。

地図1 バイ湖とタール湖
 
エンカルタ地図を使用 スケールは30km

画像1 1925年発行の地図 2001/05/18 LANDSAT RGB:342

画像2 マニラとバイ湖  2001/05/18 LANDSAT RGB:342

画像3 タール火山とタール湖  2001/05/18 LANDSAT RGB:342

写真1 タール湖を渡ってタール火山をめざす 2007年長谷川撮影
タール湖の北岸からアウトリガーの付いたこんな船で南へ下ります。2〜30分でタール火山の北岸に着きます。

写真2 タール火山からカルデラ内の火口湖を見る 2007年長谷川撮影
タール火山北岸の船着き場の近くにはビジターセンターがあります。ここから徒歩で急坂を30分ほど上るとカルデラ壁の縁にたどり着きます。
ここから火口をのぞき込むと、直径2kmの火口の底に何カ所か噴気が上がっているのが見えます。