※ 「今月の衛星画像」 2006年のテーマは 河口 です ※

Vol.8−08   2006年08月号

ユーコン川河口 北極圏の大湿地その2 

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 2006年のテーマは「河口」です。衛星画像で世界中のさまざまな河口を見てゆきましょう。



 今月は、涼しげなユーコン川河口の画像である。この川は、全長3000km以上の長さをほこるから、直線距離になおせば稚内から台湾あたりまでの長さに匹敵することになる。この川を遡ると、源流とされるいずれの谷も、カナダのブリティッシュコロンビア州とユーコン準州の間あたりの海岸山脈の氷河にたどり着く。流域は豊富な森林資源を有するが、冬季は結氷するので開発は進まない。中・上流では鉱産資源に恵まれているというが、自然を売り物にした方がこの地には相応しいような気がする。かつて、北極圏回りの航空路が主流であった頃は、ユーコン川の下流の眺めは地理学者の楽しみの一つであったようだ。世界大百科事典の「ユーコン川」は著名な地理学者が担当しているが、記述の雰囲気からそのように察することができる。
 ユーコン川の下流は広大な三角州と湿地でできている。どれが本流かわからないほどに分流したままベーリング海にそそぎ込む。この画像は6月に取得されたデータを処理したものであるが、河口部にまだ氷は見える部分もある(画像2)。沖合数キロには幅広い氷の帯があるから、海あけ直後の画像なのであろう。
 海岸線をよく見ると、汀線と並行に何列かのスジ模様が見える。スジの間に湖沼が連なっている場所もある(画像2)。これは、日本の海岸平野にもかつてみられた浜堤列とその間の低地に相当するものかもしれない。いずれにしても、完新世の海面変化に対応して形成されたものと思われる。


地 図 は エ ン カ ル タ による
画像1 1992年6月6日 LANDSAT TM画像 
画像2 画像1の海岸に沿って南端の部分