※ 「今月の衛星画像」 2008年のテーマは 島 です ※

Vol.10−08    2008年08月号

Ten Thousand Island エバーグレーズ西端の島々 

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ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2008年のテーマは「島」です。衛星画像で世界中のさまざまな「島」を見てゆきましょう。


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 複雑に絡み合ったように見える島々(画像3)の、基盤を作っているのだろうと思う石灰岩は水面のすぐ下にあるので、関連させて考えてみたいのですが現地でながめると単に砂礫が積もった島にしかみえません。島々の成因について書くには、いま少し考えて、また文献をもう少し探してからでないと無理かなと思います。
 ところで、エバーグレーズ大湿地はかつて、オキチョビー湖からフロリダ半島の先端まで続いていました。1800年代の地図を見ると、湖の北にも広い湿原があったようです。今では、オキチョビー湖の南はエバーグレーズ農業地帯に、東の境界部はマイアミなどの市街地が広がり、エバーグレーズはかつての半分の面積に縮小してしまいました。 また、湿地内の水質やメキシコ湾岸の海水の汚染も進んだそうです。エバーグレーズの西端にあって、メキシコ湾に臨むTen Thousand Island 周辺も例外ではなく、海洋が汚染されたようです。この島々にはマナティが生息していますが、その数もずいぶん減少したといわれています。湿地やその周辺で汚染が進んだ理由は、1900年代後半からリゾート地として開発が進んだこと、ハリケーンのたびに氾濫を繰り返すオキチョビー湖の水害を抑えるため、何本もの水路を建設され、乾燥化や湿地内の水の流れが変わってしまったこと。また、増え続ける人口と農地の拡大により、家庭からの生活廃水や農薬などの有害物質が水路を通って、一気に流れ込むようになったことなどによると考えられています。それにともない生息していた植物、動物、鳥類の多くが姿を消しました。周辺の海域は赤潮などが頻発し、生態系への影響も大きかったといいます。
 このような状況のなかで、
クリントン政権時の2000年12月に、エバーグレーズの生態系復元事業が決定されました。のプロジェクトは、今後30年の期間を要するという、世界最大の生態系復元事業となります。

 島々を巡るボートに乗ってみました。水の色は褐色です。とてもきれいな色とはいえません(画像3、4)。これは、膨大な植物からもたらされたタンニンの色だといいます。のんびりマナティが泳いでいるのを見ることもできました。彼らは濁った、たぶん少し渋いのではないかと思われる水の中を気持ちよさげにおよいでいました。
                        画像1 
2001年前後に撮像されたLANDSATの4つのデータをモザイク合成したもの。北端にオクチョビー湖の南部が見える。ここからフロリダ半島南端までが本来のエバーグレズに相当する。東側の沿岸には、マイアミなどの都市が南北に連なる。フロリダ半島の南に延びるのはキーウェストの島々。
画像2 Ten Thousand Island  LANDSAT ETM 2001年 スケールは5km
画像3 Google Earthの画像に、GPSのログを重ねてみた。赤い軌跡は私が乗った船の航路。マナティに注意の看板は、陸と島の間のラグーン(上の図の右上)に立っていた。

画像4 水が濁って見えるのは、溶け込んだタンニンのせいだという。  2008/7 長谷川撮影
画像5 雲の下はメキシコ湾  2008/7 長谷川撮影