※ 「今月の衛星画像」 2006年のテーマは 河口 です ※

Vol.8-10   2006年10月号

アムール川 デレンはどこにある 

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2006年のテーマは「河口」です。衛星画像で世界中のさまざまな河口を見てゆきましょう。


 今年のテーマは「河口」でした。最後をかざる12月の河口は、アムール川の河口です。

 先日、旅先の仙台のホテルで何気なくつけたNHKのローカル番組に、懐かしい顔が現れました。探検家のTさんです。この人がまだ東京に住んでいた頃、私の研究室にやってきてしばし歓談し、その後に院生たちとビールパーティになったことを思い出しました。かざらない性格で話がおもしろく、私たちは彼の冒険譚に夢中になったのでした。Tさんはその頃探検家として売り出し中で、ある漂流者の本を出していました。
 
その後、Tさんは、ナショナル・ジオグラフィックスの援助で、あるプロジェクトに成功し(もちろんナショジオにも登場し)、新聞の「かお」とか「ひと」欄にも登場し、一躍時の人になりました。現在は、秋田を本拠地にしているのだそうです。そんな話がテレビから流れてきました。そして現在の興味の中心は、アムール川下流の交易都市デレン。そういえば、研究室に来たときも、この話をしていました。デレンは、間宮林蔵が訪れた交易都市です(「まぼろしのデレン」という絵本が福音館書店から出ています)。デレンがどこにあったのか、Tさんの探検はこれから始まるのでしょう。うまい具合にスポンサーが見つかってほしいものです。
 ところで、デレンはアムール川の下流にあったらしい交易都市(というより交易所でしょうか)です。アムール川の下流は、おそらくしばしば洪水があったでしょうから、交易所が上記の絵本のような、川の畔に在ったものなら、流されたり埋もれたりして痕跡もないのではないでしょうか。Tさんの分析を伺ってみたくなりました。

アムール川は、モンゴル高原東部に流れを発し、中流部は中国の東北部とロシアのシベリア地方との国境となっています。ロシアのハバロフスク付近で北東に流れを変え、オホーツク海に注ぐわけですが、松花江・ウスリー川などの有名な支流をもっています。全長は4,350Kmで世界8位、流域面積は205万1500Km²で世界10位です。
 この川は、
流氷の生まれ出る川としても有名です。川の水には栄養分が豊富で、サケ類をはじめ豊かな水産資源に恵まれています。しかし、いっぽうで中国国内では、汚染物質が垂れ流されているのではないかという心配があるそうです。そんな矢先、吉林省吉林市で2005年11月に起きた石油化学工場の爆発事故で、支流の松花江に流れ込んだ有毒な大量のベンゼン化合物による大規模な汚染をはじめ、近年は中国側の経済発展や計画などにより、河川の汚染が深刻になりつつあるようです。



地図  アムール川は、ロシアと中国の国境になっている  背景の地図は、エ ンカルタから作成
画像1 アムール川の河口と最下流部。95/8/24 RGB:342(下も同じ)
画像2 低地に残る河道変遷の痕跡