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「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※

Vol.6−02
  2004年02月号

「大青溝自然保護区 中国内蒙古南部の国家級自然保護区 

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LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


  今月の衛星写真004にも登場した中国内蒙古自治区東部のホルチン沙地は、乾燥や強風といった自然条件の他に 過放牧 や過開墾などの人間活動が砂漠化の進行を助長している地域である (日本砂丘学会HPの中国内蒙古自治区の砂漠写真)。
 大青溝自然保護区は、このホルチン砂地南東部の通遼市南端に位置する中国の国家級自然保護区である(図1、図2)。ここは、砂漠の中にありながら約8100haの樹林帯が広がり、保護区内には 散策路や展望台が設置された観光地になっている。日本からは、NPOやNGOによるホルチン沙地での植林ツアーの際に訪れる場所のようで、多くの参加者が砂漠の中に突如現れる緑豊かな空間に驚くそうである。
 大青溝自然保護区は深さ50〜100m、長さ約25kmに渡って大青溝、小青溝の2つの花こう岩の谷から構成されている。この谷の成因については諸説あるようだが、そのひとつに、ここは従来から地下水位が高いので、地殻変動により陥没した部分が地下水に接近し、樹木が繁茂したというものがある。樹林帯は、ニレ科やモンゴリナラが高木層を優占し、アンズ、クワ、サンザシなどが中低木層を構成する冷温帯落葉広葉樹林で、地形や土壌の水分条件によって独特の微気候を形成している(厳、2003)。内蒙古自治区環境省HPでは、ここに育つ樹木などの写真 が掲載されている。ランドサット画像でも、大青溝の樹林帯とその周囲で砂漠化が進行する土地との差を明確に捉えている(図3、4)。
 
  図3(1988年)と図4(1997年)を比較すると、図4は全体的に白っぽい。特に大青溝の東部から北東部にかけて、1988年には砂丘がそれほど認められないが、1997年の画像では砂丘に覆われてしまっている。撮像日(6月、9月)を考慮しても、この地域では砂漠化が進行していることがわかる。

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大学院地理・地域論コースM1 鈴木敬子
大学院交換留学生(北京師範大学・院) 徐 香蘭

図1:大青溝の位置図
図2:Landsat TM、1988-09-23、画像の下方に見える円形が大青溝
       
図3:1988年9月の大青溝周辺のフォールスカラー画像(LANSAT TM)
画像中央の楕円状に色が濃くなっているのが大青溝自然保護区で、ひときわ植物活性度が高くなっている部分(赤色の谷の部分)が大青溝(西側)と小青溝(東側)である。
図4:1997年6月の大青溝周辺のフォールスカラー画像(LANSAT TM)

 

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