※ 「今月の衛星画像」 2006年のテーマは 河口 です ※

Vol.8−02   2006年02月号

テムズ川のエスチュアリー 

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 2006年のテーマは「河口」です。衛星画像で世界中のさまざまな河口を見てゆきましょう。


 今月のお題はテムズ川。理由は、担当者がふとマッカランを飲みたくなったからという不真面目なものですこし恥ずかしい。マッカランといえばイギリス、テーマは河口、イギリスの川といえばテムズ川 というおバカな連想なのです。お許しください。★

 さてテムズ川(Thames river)、地理の教科書には三角江の例としてあがっているとおもう。三角江(エスチュアリー)とは、ラッパ型の平面形をした入江のことで、川底の傾斜が緩い河口部が潮汐の影響を受けて侵食され形成されるのだという。「ロンドン市内よりさらに上流、河口から90kmの距離まで、北海の潮汐の影響を受ける。ロンドンはローマ帝国支配化の紀元前43年に満潮時に潮が達した地点に築かれたという逸話があるが、2000年ほどの時間の間にさらに上流まで遡るようになってしまっている。ロンドン市内では、水は海水と混ざり少し黒い色をしている」というのは、ウィキペディアの「テムズ川」の記述である。
 テムズ川は、その全長が約340km、イングランド南部をほぼ西から東に向かって流れるイギリス最大の川である。川幅はロンドン橋(画像1のA)で約265m、グレーブゼンド埠頭(B)で732m、グレーブゼンドから5km下流では1180m、ノア灯台(C)では10kmと、河口に向かって急激に増加する(画像1)。まさにラッパ型である。そして、河口部では、ウィットステーブルとファールネス岬の間(D)に幅29kmの三角江がひろがるのだ。
 つい最近、ロンドン中心部のこの川で、群れからはぐれたとみられるクジラが泳いでいるが見つかった。報道によれば、川に面している英国議会を通り過ぎ、川上に向けて進み、数百人のやじ馬が川沿いの道で見守るなか、駆けつけた動物保護団体の専門家らが救出にあたったけれど、結局は死んでしまったという。今でこそ、テムズ川はクジラが迷い込むほど浄化が進んだが、その昔は垂れ流された屎尿が臭くて、議事堂での審議もままならなかったという。そのころの川の水は、モンスタースープ(怪物が飲むスープ)と呼ばれていたのだそうだ(http://www.mihara-waterworks.jp/sensei/03.htm)。

 

画像1 テムズ川の河口と三角江   200/6/19 LANDSAT TM RGB:371
画像2 テムズ川河口部
画像3 ロンドン市内を貫くテムズ川  (画像2の西側) 中央やや左にヒースロー空港
画像4 テムズ川三角江の北岸  大小さまざまなデルタが形成されている