※ 「今月の衛星画像」 2010年のテーマは 境界 です ※

Vol.12−02    2010年02月号

キューバの中にあるアメリカ 

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2010年のテーマは、「境界」です。衛星画像を使って、世界の「境界」を見てまわりましょう。


※写真や画像の引用に関する問い合わせは、こちらのリンク先ページをご覧下さい。


 TVニュースに地図がついていることはあまりないから、グアンタナモ米軍基地(Guantanamo Bay Naval Base)がキューバの一角にあることは知っていても、キューバのどこにあるか正確に言い当てる人は少ないかもしれない。アメリカは、どこへいっても綿密な地形、地質調査をして戦略上の一等地に基地を作る。キューバでもそうだ。グアンタナモ米軍基地の周辺には、大型軍用船舶の運航障害となるサンゴ礁が分布しない。さらに大型船舶が接岸できる水深の大きい湾入部に接している。このような場所は、キューバにはあまり見られない。
 なぜ、敵対するキューバに米軍が基地を持っているのか・・。これは有名な話だから知っている人も多いだろう。スペインから独立したかったキューバが、この地の永久租借をアメリカにあたえる条約に同意し、援助を受けて独立したことにはじまる。もちろん、キューバ革命前のことで1903年である。現在のカストロ政権は、アメリカによる基地租借を非合法とし、租借料の受け取りを拒否しているというから、アメリカはこの土地をタダで使っているということになるのだろう。
 基地はキューバと米軍が埋設した地雷原に囲まれているという。米軍は地雷を撤去したというが、キューバが埋めた地雷はそのままになっているらしい。キューバとグアンタナモ米軍基地の境界はとてもはっきりしている。衛星画像でも十分に識別できる。なお、この基地の詳細な地図や写真は、http://www.globalsecurity.org/military/facility/guantanamo-bay.htmに載っている。
                                                                  



地図1 赤い矩形は画像1(下)の範囲を示す。
地図2 キューバ島の東端部は、丘陵や山地が広く分布する。グアンタナモ湾は背後に湿地を持つ広い湾入である。湾の北側には人口21万人の州都、グアンタナモがある。 Google Map より
画像1(左) 右下の黄色い枠が画像2(下)の範囲。
 画像2 矢印の先に続く細い筋がキューバとアメリカの“国境線”にあたる。付近は地雷原になっているという。
LANDSAT ETM+  2008/01/30のデータより作成。RGB:281