※ 「今月の衛星画像」 2009年のテーマは 街、都市 です ※

Vol.11−01    2009年01月号

バリア島の変貌 フォート・ローダーデール(FORT LAUDERDALE) 

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2009年のテーマは、「街、都市」です。衛星画像を使って、世界の街や都市を見てまわりましょう。


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 北アメリカの大西洋からメキシコ湾沿岸の海岸でみられる大きな特徴は、沿岸州(バリア島)が連続して発達していることです。この地域は、かつてのローレンタイド氷床周縁部に位置します。氷床下では、地殻は氷の重さで沈降していましたが、この地域のような周縁部は上昇していたと考えられています。しかし、後氷期に氷床が北へ退いてゆくと、この地域は上昇から一転して下降し始めました。それに、後氷期の海面上昇(130m)が重なり、海岸全体は沈水していったのです。6000年前以降、海面上昇速度は衰え、砂が沖合に打ち上げら沿岸州ができはじめたと考えられています。そして、その後の海面上昇に伴って、徐々に陸の方へ移動してきたのです。このようにして形成された沿岸州は、、1)傾斜が小さく、砕屑物の供給が豊富な海岸 、2)潮位差が小さい(30〜60cm;フロリダ)海岸、3)暴浪や小さなうねりによる巻き波がみられる海岸 に形成されることが多いとされています。
 フロリダ半島にあるマイアミは、アメリカ人あこがれのリゾート地の代表格です。マイアミの沿岸部にも、陸との間のラグーンを隔てて沿岸州は形成されており大西洋に臨むビーチにはたくさんの観光客が集まります。マイアミから北に向かうと、フォート・ローダーデールというこれまたリゾート地があります。両者はほとんど境界もなくつながっているという感じです。マイアミも、フォート・ローダーデールも沿岸州とラグーンを利用して市街地を広げてきました。
すなわち、沿岸州の陸側を埋め、ラグーンを埋めて市街地や住宅地として使っているのです(画像1、2)。フォート・ローダーデールで撮影した何枚かの写真を見てください。市街地と住宅地を結ぶ幹線道路は、運河を何カ所も横切りますが、道路ばかりか鉄道線路までもが跳ね橋になっていました(写真1)。そいて、運河が巡らされた金持ちが住んでいるのであろう住宅地では(画像2、写真2)、庭先に豪華な自家用船が係留されていました(写真3)。
                                                                                  


                                             文献:

週刊朝日百科 世界の地理「アメリカ合衆国3 南部」、1983年
「アメリカ大陸の自然誌1アメリカ大陸の誕生」、岩波書店、1992年
「シリーズ 環境と地質 V 水環境と地盤環境」、古今書院、2003年
「世界の地形」、岩波書店、1997年
        フロリダ半島  
マイクロソフト エンカルタ の地図より
画像1 フォート・ローダーデール
LANDSAT TM  2002/01/09のデータより作成。
画像2 フォート・ローダーデールの市街地(西)と住宅地(東)。海岸沿いにはリゾートホテルが連なるが、その西のラグーンの埋め立て地は高級住宅地である。GoogleEarthの画像による。
写真1 運河に架かる跳ね橋 写真2 住宅街の運河 写真3 庭先に係留された船
写真1〜3:2008/7月 長谷川均撮影