※ 「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※

Vol.6−07   2004年07月号

「 Windjana Gorge国立公園 西オーストラリア州のDevonian "Great Barrier Reef" 」 

このページはブロードバンドを使ってご覧ください画像はWeb用に画質を落としています
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


先月号に引き続き、今月もオーストラリアの国立公園を紹介します。オーストラリアの西側1/3を占める西オーストラリア州には、キンバリーとピルバラの2つの安定地塊があり、鉄鉱石やダイアモンドなどの鉱山資源が豊かなことで知られています。Windjana Gorge国立公園は、その西オーストラリア州北部のキンバリーの南縁にある峡谷です(図1)。
 キンバリーは、先カンブリア紀の非常に古い地層からなる地塊で、その南縁に沿って「Devonian "Great Barrier Reef"」とも言われる隆起サンゴ礁が緩やかに連なっています。ここは、約3.5億年前のデボン紀にこのキンバリー地塊を囲んで1000km以上も発達したと考えられるサンゴ礁の一部が、約2.5億年前から始まった地殻変動により隆起したもので、現在は長さ300km、幅最大で60kmに渡って比高40〜150mの隆起サンゴ礁の台地が見られます(Kanen(2001)Nature BaseのHP)。Windjana Gorgeは、この隆起サンゴ礁であるNapier Rangeを侵食したレナード川によって形成された峡谷です(図2、3、写真1)。長さ3.5kmほどのその峡谷では、比高100m以上の石灰岩と陸地性の堆積物の互層の露頭が確認され、この隆起サンゴ礁の形成環境を物語っています(Hocking and Playford,2000)。
 なお、オーストラリア北西部のアウトバックを訪れることができるのは、1年のうちでも乾季のみで、雨季にあたる12〜3月は川が洪水して道路が寸断される等で、多くの国立公園が立ち入りを禁止しています。



図1:位置図(GLCFのデータ検索画面より)
ノーザンテリトリーのダーウィンから南東へ約1800km、
西オーストラリア州のパースからは北北西へ約3000kmの位置にある。



図2:キンバリー南西縁のLandsat TMトゥルーカラー画像.(1990年3月撮像,Path109/Low73)
画像中央にSE-NWに走るのが隆起サンゴ礁である(灰白色で囲んだ部分)。
南側はCanning Basin、北側にはキンバリー地塊の一部が見えている。
Hocking and Playford,2000には、隆起サンゴ礁をPlatform、Slple-basin、Conglomerateに分類している。


図3:Windjana GorgeのLandsat TMrトゥルーカラー画像
隆起サンゴ礁のNapier Rangeを東西に横切る河川がレナード川で、その一帯がWindjana Gorge国立公園である。


写真1:Windjana GorgeとNapier Range.(西オーストラリア地質調査所(GSWA)のポストカードより)
写真右側がキンバリー側、左側がCanning Basin。中央がNapier Rangeで、それを貫くレナード川とその峡谷一帯がWindjana Gorge国立公園。隆起サンゴ礁がはるか遠くまで続いているのが見える。ポストカードの説明には、「Aerial view of the Napier Range at Windjana Gorge, forming part of the Devonian "Great Barrier Reef" of the Canning Basin.」とある。

大学院地理地・域論コースM2 鈴木敬子

Back Number をみる