※ 「今月の衛星画像」 2008年のテーマは 島 です ※

Vol.10−05    2008年06月号

ガルヴェストン島 1900年のハリケーン 

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 2008年のテーマは「島」です。衛星画像で世界中のさまざまな「島」を見てゆきましょう。


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 メキシコ湾沿岸には、長大な砂州島が形成されている。北米大陸から掃き出される膨大な土砂が沿岸流によって運ばれて堆積したものだ。ガルヴェストン島もこのような州島の一つである。現在この島は、メキシコ湾側の海浜を高さ5m程の防波堤で守られ、またその前面を消波ブロックが覆っている。州島は長さ3km程の鉄道と道路で大陸と結ばれている。大陸との間の内海は浚渫され水路が掘られ、埋め立て地に高級住宅地らしきものも造成されている。

 100年ほど前、この島は未曾有の大災害にたたきのめされた。「キューバ沖で発生した熱帯低気圧がよもや史上最悪の嵐に変貌するとは! 自然の猛威にさらされた街とそこに暮らす人々の衝撃の記録。1900年9月―20世紀への幕開けを目前に控えたその日、テキサス州沿岸の都市ガルヴェストンをハリケーンが直撃した。死者数6000人以上といわれるこの未曾有の大災害を防ぐことはできなかったのか?一人の気象観測官の人生をとおして、自然に翻弄される人間の無力さ、傲慢さ、恐怖を圧倒的な迫力で描いた全米ベストセラー(以上は、「1900年のハリケーン (文春文庫) (文庫)、エリック ラーソン (著), Erik Larson (原著), 島田 三蔵 (翻訳) 文藝春秋社 (2000/11)」のアマゾンでの記載より引用)」。

 このハリケーンは超弩級であったらしく、「Galveston hurricane」で検索するとWebでは写真、動画まで続々と出てくる。「Story of the 1900 Galveston Hurricane 」、「The Galveston Hurricane (Great Disasters, Reforms and Ramifications)」などの単行本もリストアップされる。ハリケーンの記載は、ウィキペディアの記載が、いちばん詳しいかもしれない(http://en.wikipedia.org/wiki/Galveston_Hurricane_of_1900)。このページには、台風の経路図なども載っている。

 当時も今も、ガルヴェストン島の標高は3m弱で、州島は完全に高潮で洗われた。42000人程度の人口であったらといわれるが(現在は6万人ほど)、そのうち死者・行方不明者は6000〜8000人に達した。前述の「1900年のハリケーン」によれば、ガルヴェストンは「メキシコ湾のニューヨーク」といわれるほどの活況を呈していた。1899年には、国内最大の綿花積み出し港であったし45の汽船会社が定期航路を持ち、ヨーロッパ便も就航していた。ロシアや日本を含む十六カ国の領事館もあった。このまま大災害さえなければ、ガルヴェストンはニューオリンズ、ボルチモア、サンフランシスコ程度の大都市になるはずだった。

 現在のガルヴェストンは平和そのもの。ユーチューブの無料動画サイトには、今日のこの都市を紹介する動画がいくつか載っている(http://ユーチューブ.の無料動画.jp/tag/galveston)。それにつけても、画像3の埋め立て地の高級住宅街、はたして災害に強いのかどうか、人ごとながら心配になる。


画像1  ガルヴェストン島 
矢印がガルヴェストン島。画像の北側には、約80kmの場所にあるヒューストンの一部が見える.
  LANDSAT TM 1990年
画像2 ガルヴェストン島。市街地は島の東側にあり、これは100年前と同様である。矢印は、画像3の埋め立て地を指す。LANDSAT TM 1900年
画像3 島と陸を結ぶ鉄道橋の本土側に付け根にある埋め立て地。Google Earthによる。