※ 
「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※

Vol.6−03
  2004年03月号

「ギアナ高地 ベネズエラのカナイマ国立公園 

このページはブロードバンドを使ってご覧ください
画像はWeb用に画質を落としています
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


 ベネズエラ南東部を中心に、5カ国にまたがる面積120万平方キロのギアナ高地を宇宙からながめてみよう。ギアナ高地の中心部にあるカナイマ国立公園は、面積3万平方キロで四国の約1.6倍の面積をもち、17億年前の先カンブリア時代の地層が見られるという。卓状を成す“テーブルマウンテン”は、周辺の軟らかい部分が侵食され、古い硬い岩盤だけが残ったもので、以前に「今月の地理写真」で解説された「メサ」とよばれるものである。テーブルマウンテンの標高は、2000から2800mで、周囲のサバナから立ち上がる断崖の高さは1000mにもおよぶ。比較的詳しい地図はここにある(http://www.thelostworld.org/maps/mapcanaima.htm
 山麓の密林や断崖は長い間人々の進入を拒み、金鉱採掘の山師や冒険飛行家たちが登場するまでこの地の詳しい話は誰も知らなかった。
地域の概要は、次のページにわかりやすく解説されている(http://www.thelostworld.org/canaimanp/canaima.htm)。この解説は、本文の上の数値(週刊世界遺産、No,42、講談社による)と異なるものもあるが、それはたいした問題ではないだろう。
 カナイマ国立公園の周辺も、人跡未踏地が多く人口密度も非常に低い。しかし、この地域は隣国のガイアナから多くの人達が移り住んで焼畑を営み始めており(したがって国境線をめぐる紛争もある)、環境や国際紛争などの面で今後の動向が気遣われている地域でもある(http://www.ourplanet.com/aaas/pages/case02.html)。またこの地域は、1994年に世界遺産に登録され現在では観光で訪れる人も多い。カラカスから空路二時間程度で当地のリゾートホテルに着く。小型機に乗り換えれば山麓に広がる密林や、霧にかすむ断崖絶壁を眺めてしばしロストワールドの雰囲気にひたることができる(http://www.venezuelatuya.com/gransabana/canaimaeng.htm )。

図1 位置図
右下の図3の範囲は、左の赤色の部分。この部分の一辺は約180km
地図はGLCF検索ページによる
図2:カナイマ国立公園 5カ国の国境に位置する。地図の上端はオリノコ川のデルタ 図3:上のランドサット画像の範囲は約180km×180km、2000年9月23日 のデータ。白枠は図4(Bの範囲)、図5(C)、図6(A)の範囲を示す。Aは国立公園の範囲外。B、Cは公園の西端部分になる。ギアナ高地最高峰のロライマ山は、このシーンのわずかに南東の範囲外にある。南東部の赤茶けた地域は、低地と高地が混在している(低地の方が広い。図4を参照)
図4:カナイマ国立公園の西端付近(図3のB)。テーブルマウンテンの頂上は、岩盤が露出したように見えるものと、植生におおわれたように見える一段低いものとがある。河川沿いに見える、茶色で示された広大な部分が何であるのか、土地勘と現地の知識に乏しいのでよくわからない。テーブルマウンテンの山麓ひろがるサバナの植生のちがいを示すものだろうか? 焼畑にしては規模が大きすぎるように思う(この地に詳しい人がいたら、ぜひお教えてください)。
図5:大きなテーブルマウンテン(図3のC)。頂上には地衣類が生え多様な植物が見られるという。植物の種類はギアナ高地全体で4000種、その75%が固有種だという。これをみてもここがいかに隔絶されたと地であるかがわかる(週刊世界遺産、No,42、講談社)。
図6:国立公園の北側(図3のA)。密林の中に道路がつくられている。道路沿いに点在する赤茶けた部分はおそらく焼畑でひらかれた農地とおもわれる。

Back Number をみる