※ 「今月の衛星画像」 2010年のテーマは 境界 です ※

Vol.12−03    2010年03月号

アマゾン横断道路のフィッシュ・ボーン 

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2010年のテーマは、「境界」です。衛星画像を使って、世界の「境界」を見てまわりましょう。


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 ブラジルを横切り、北と南に分ける境界とでもいえるのが、アマゾン川の南を東西に走るアマゾン横断道路(トランスアマゾニカ、トランス・アマゾン・ハイウェー)だ。当初は一本の線のように見えたのだろうが、横断道路が完成する頃には、道路に沿って「フィッシュ・ボーン」とよばれる熱帯林の伐採跡地が広がってしまった。「環境破壊の典型例」として、地理の教科書でも象徴的に使われる。いろいろな本で使われる衛星画像は、アマゾン川の南にあるパラ州のあたりを捉えたものが多い。
 横断道路は、大西洋岸の都市とペルー国境まで5000km以上の長さをもち、1968〜74年にアマゾン地域開発の国家事業として、従来の国道を延長するかたちで建設された。ペルー側でも、アンデス山脈をこえて太平洋岸にいたる道路がつくられ、大西洋と太平洋がむすばれることになったという。この横断道路は、アマゾン地域の農業や牧畜、カラジャス山地の地下資源の開発などを目的に建設されたものだが、構想されていた農地開拓は必ずしも成功せず、道路も冠水などで使用できなくなることもしばしばだという。Webでこの道路を検索すると、道路工事の際にナパーム弾を使って森林を焼いたなどというすごい話も紹介されている。
 数ある「アマゾン横断道路もの」でおすすめは、ノンフィクション作家の山根 一眞氏による「バイオエタノールの先駆者ブラジルの希望と痛み」という記事で、「アマゾン横断道路という“熱狂”」という書き出しではじまる。
 なお、下の画像はパラ州を捉えているが、この地域の森林伐採に関しては当教室の「今月の地理写真 ブラジルアマゾン、パラ州東部の熱帯雨林とその消失 (1999年8月号)」で紹介されている。

この文書の主要な部分は、マイクロソフト・エンカルタの記載を一部引用しながら作成しました。Microsoft(R) Encarta(R) 2009. (C) 1993-2008 Microsoft Corporation. All rights reserved.



地図1 白い矩形は画像(右)の範囲を示す。矢印の先をアマゾン横断道路が走る。エンカルタダイナミック地球を元に作成。 画像1 北西部分は手つかずの森林が広がる。ここは「タバジョス国立森林」というところ。黄色い枠が画像4,5,6の範囲。
画像 2,3 1986年と2007年の比較  約20年間を比較したが、入植は1960年代に始まっているので左の画像でもすでに20年経っている。形状をみれば、「フィッシュ・ボーン」という名称に納得する。 
画像4,5,6 Ruropolis という町の変遷 範囲は画像1に示した。画像はいずれもLANDSAT ETM+  1,2,7または8による合成。