※ 「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※

Vol.6−05   2004年05月号

「 華山 中国五岳と黄河・渭河 」 

このページはブロードバンドを使ってご覧ください画像はWeb用に画質を落としています
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


 中国には五岳といわれる5つの有名な山がある。東岳泰山(山東省)・西岳華山(陜西省)・中岳嵩山(河南省)・南岳衡山(湖南省)・北岳恒山(山西省)がそれであり、道教の聖地とされている。東岳は人命、西岳は金属、南岳は水棲生物を、北岳は大河を、中岳は土地山川をそれぞれ司る。崋山の標高は2106mあり、五岳のなかでも険しいことで有名であるが、ロープーウェイがあり多くの観光客が訪れている。
 図1は
陜西省の崋山周辺のASTER画像である。崋山の山頂付近は周囲の山と違い、植生に覆われていないため白く輝いている。北東には黄土高原の中を南進してきた黄河が、崋山にぶつかり東へと流れを変えているのがわかる。渭河と黄河の合流地点周辺は、一面の小麦生産地となっている。崋山北部の台地には黄土が分布しており黄土高原の南端である。台地上も小麦畑など農地として利用されているが、年降水量が400mm程度の為、深さ300mの井戸か黄河からの揚水によって水需要をまかなっている。

図1 華山付近のアスター画像

 図2に同一地域の四時期の衛星画像を示す。1977年はランドサット(MSS解像度56m×79m)・1990年ランドサット(TM解像度30m)・2000年ランドサット(ETM解像度30m)・2003年TERRA(ASTER解像度15m)を使用した。

図2 四時期の衛星画像
写真1黄土高原の景観

 四時期をくらべると渭河の流路変化がわかる。この地域では森林被覆率が1950年ごろ最小となり、黄土高原から多量の土砂が河川に流れ込んだ。そのため、渭河と黄河の合流地点では、河床の上昇が発生して耕地の被害がでるようになった。農民は流された農地の代わりとして、黄土高原の傾斜地を階段状に開墾したが(写真1)、それにより黄土の流出も増加してしまったという。近年では政府による「母なる河を守る運動」と呼ばれる植林活動が行われるようになり、傾斜地の農地を森林にもどす運動が試みられている。

人文科学研究科D2 後藤智哉

Back Number をみる