※ 「今月の衛星画像」 2005年のテーマは 道 です ※

Vol.7−11   2005年11月号

Landsat ETM画像でみる北京・八達嶺長城 

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 万里長城は、秦や明時代に北方民族の侵入を防ぐために作られた城壁として知られています。その総延長は現在残されてい るものだけでも甘粛省から河北省までの約2400kmに及び、人工衛星を用いて「宇宙から見える人工物」として有名です(かつては「宇宙から肉眼で見える 唯一の人工物」と言われたこともありましたが、現在それは否定されたようです)。NASAのページには、ASTERSARで万里長城を捉えた画像が紹介されています。
  首都、北京市の周辺には慕田峪長城、司馬台長城、八達嶺長城などの長城が残され、城壁を歩くことができます。特に、八達嶺(Badaling)長城は北京市の市街から最も近く、多くの人が訪れるためよく整備されています(図2、写真1)。その八達嶺長城をLandsat ETM画像で見ると、長城上部は幅数メートルの狭さにもかかわらず、山を縫うように連なっているのが捉えられています。

 


図1:北京市周辺の長城位置図(Landsat ETM P123/R32 1999/7/1撮像 RGB/542)
長城は北京市の北部〜西部に連なる山脈に築かれている。八達嶺長城が市街から約50kmと最も近い(バスで1時間程)。
司馬台長城は市街から150km以上も離れているが、高速道路を利用すれば3時間ほどで着くそうである。
画像の右上にある湖は密雲ダムの湖で、北京市の水がめとなっている。


図2:八達嶺(Badaling)長城付近のLandsat ETM画像(Landsat ETM P123/R32 1999/7/1撮像 RGB/321:右は左画像を拡大したもの)
八達嶺長城のある軍都山周辺の画像。この山脈を境に西側は河北省、東が北京市になる。
画像中央、矢印が追う黄色のジグザグの線状の部分が八達嶺長城。 実際にはもっと南へ続いているが、画像では判別不能である。


写真1:八達嶺長城(2005年10月 鈴木撮影)
筆者が訪れたときは中国の大型連休にあたり、一時的に登山制限を掛ける程の人出であった。
周囲には広い駐車場や土産物屋があるのはもちろんのこと、傾斜の急な部分には手すりが付けられていたり、
登山路と下山路が別に設けてあるなど、観光地として整備されていた。
手前の砦のような建物は、dunと呼ばれる守衛兵の詰所だったところで、約110mおきに設けられているそうだが、
この出入り口も内部がとても狭いのでこの前後では必ず観光客の渋滞が起きていた。

大学院研究生 鈴木敬子