※ 「今月の衛星画像」 2006年のテーマは 河口 です ※

Vol.8−10   2006年10月号

ニジェール川デルタ アフリカ最大の産油地帯 

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ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。

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 2006年のテーマは「河口」です。衛星画像で世界中のさまざまな河口を見てゆきましょう。


 ニジェール川はアフリカ大陸西部を流れる大河である。源流はギニアにあって、大きく内陸を回り込んでギニア湾に注ぐ。この間約4200km、9か国を流れる。ニジェール川の河口はナイジェリアにある。河口付近は海岸線から100km程上流から海岸まで広大なデルタが広がる。このデルタ地帯とその沖合は、アフリカ最大の産油高をほこる油層が広がっている。
 ロイヤル・ダッチ・シェルをはじめとして欧米の大会社が油田開発を進めているが、さまざまなトラブルが絶えない。また、油田周辺における環境破壊も進んでいるという。すこし前のことだが、深夜のテレビニュースで、放棄された油田周辺の湿地に流れ出す原油の映像が流されていた。原油もれ事故などにより、農作物に多大な被害が及んでいるという。
 ナイジェリアの豊富な石油は、この国に内戦や内紛を起こしてきた。ビアフラ戦争もその一つであった。企業と政治家の癒着や人権侵害、これらに起因するとおもわれる誘拐事件なども繰り返し報道されている。世界有数の産油国ではあるが、国民の大多数が貧困にあえいでるのが実態である。
 画像1は、今から20年ほども前の画像である。LANDSATの解像度では開発の詳細は捉えられない。こんな時には、グーグルさまのお世話にならざるを得ない。ナイジェリアデルタのグーグルアース画像は、大部分が解像度の低いものであるが、それでも何枚かは高解像度の衛星画像が貼り付けられている。画像2は、石油タンクのような施設が、また画像3には油田のやぐらがみえる。近くの水面が光ってみえるが、廃液でももれて漂っているかのようである。画像4は、画像3の南側の地域である。ここでは、広大なマングローブ湿地に、規則的な水路が造られている。一見すると画像状に引かれたメッシュのようにみえるのだが、よく見ると実際に森を切り開いてつくられていることがわかる。



地図  黄色の線がニジェール川の流路  赤枠が画像1  背景の地図は、エンカルタから作成
画像1 1987年12月21日 ランドサット画像を2シーン接合したもの。本流が二つに分岐するあたりが、海岸から100kmになる。 
    Aは画像2、Bは画像3の位置。
画像2 グーグルアースで見たタンク群
画像3 油田のやぐらから立ち上る炎 
画像4 計画的に切り開かれたマングローブの水路  東西350m、南北500mのメッシュがマングローブ林にのびる。画像に引かれた線ではない。