※ 「今月の衛星画像」 2007年のテーマは 山脈 です ※
Vol.9−11 2007年11月号
「丹沢山地」
このページはブロードバンドを使ってご覧ください。画像はWeb用に画質を落としています。
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。
「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。
2007年のテーマは「山脈」です。衛星画像で世界中のさまざまな山脈を見てゆきましょう。
空気の澄んだ日、都心のビルから富士山が見える。でも、山地に隠れていて白い頭しか見えない。こんな風景を見かけたことがあると思う。今回紹介するのは富士山を隠している山、丹沢山地です。
丹沢山地の最高峰は1672.7mの蛭ヶ岳。この山を中心にして南北と西に山稜が広がっている(図1、2)。その大部分が丹沢大山国定公園・県立丹沢自然公園に指定されており、新宿からロマンスカーに乗れば60分で着いてしまうほどアクセスがよい。このアクセスの良さからか小田急線の開通以来、登山客が増加し登山道の裸地化・複線化が起きた。大倉から塔ノ岳(1490.9m)の登山道である大倉尾根の荒廃は有名である。最近では、ニホンジカの食害(画像3)やヤマビルの被害(画像4)で有名かもしれない。
丹沢山地には関東ロームが厚く堆積している。この関東ロームは雨が降るとぬかるみやすく土壌の流出量が多いことが知られており(清水編 2002)、多くの登山道で侵食が起きている(図5、6)。*各地で侵食や複線化を防止する対策がとられているが… 地質はもろく風化しやすい緑色凝灰岩(グリーンタフ)が分布しており、源頭部にはガレと呼ばれる崩壊した礫地が見られる。少し登るだけで、大きな崩壊地に出会える(図5、7)。
登山道の裸地化・侵食や斜面の崩壊などの様子が、空間分解能の低いLandsat ETM+の衛星画像でも確認できる(図5)。
<引用文献>
清水長生 編(2002):百名山の自然学,古今書院,pp126.
大学院 修士課程 藤田泰文
図2 Google earthの画像 (冬季の画像のため落葉樹と裸地の判別が困難) | |
図3 ニホンジカの食害を受けた樹木 2007/6月撮影 | |
図4 ヤマビルの吸血被害(画像上部の個体は吸血中、下部は吸血後。血は長時間止まらない…) 2007/9月撮影 |
|
図5 Landsat ETM+ ナチュラルカラー画像(2001/09/24 ch4.3.2) 森林を赤、裸地を水色に表示させている。矢印をつけた箇所で斜面の崩壊や登山道の裸地化が発生している。(A:写真7を撮影した地点 B:登山道の裸地化が深刻な花立山荘付近) |
|
図6 登山道の侵食(政次郎尾根:土壌が流出し人間の身長まで掘り込まれている)2007/6月撮影 |
|
図7 斜面の崩壊地(図5のA地点から矢印方向を見た様子)2007/6月撮影 |