※ 「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※

Vol.6−10   2004年10月号

台湾・阿里山国家風景区 

このページはブロードバンドを使ってご覧ください画像はWeb用に画質を落としています
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


 台湾には4つの国家公園と、12の国家風景区(日本の国定公園にあたるもの)があります(図1)。阿里山(Alishan)は、台湾中西部に位置する祝山(標高2274m)を主峰とする山岳地帯の総称で、その面積約32700haが国家風景区に指定されています(図2)。日本統治時代に林業用の阿里山鉄道が敷かれ、それが現在も観光鉄道として残っているため、麓の嘉義から山頂の祝山駅までその標高差約1940mを電車で登ることができます。山頂からは、台湾最高峰の玉山(標高3997m)をはじめとする中央山脈の山々が一望でき、また山頂からの日の出、雲海見物も有名で、午前4時台の始発電車には多くの観光客が乗ってきます。
 阿里山一帯は、地形的には壮年期地形の山々が連なっています。それらは、中新統から中期更新統の砂岩と泥岩による浅海性堆積岩から成り、褶曲構造を形成しています。1999年の集集地震では震源に近かったこともあり、地滑り被害を受けました。気候は、気候区分からいえば亜熱帯〜熱帯の境界付近ありますが、その標高ゆえ山頂までの間に熱帯林から温帯林への植物の垂直分布の遷移がよく観察できます。標高1800m以上になると温帯林になりヒノキ林があらわれ(写真1)、樹齢1000年を超えるヒノキの巨木群が阿里山森林遊楽区として特別に管理されています。



図1:台湾中部のLandsat TMナチュラルカラー画像(1990年7月22日撮像)
薄い赤色が阿里山国家風景区。台湾中部には、国家公園、国家風景区が多く分布している。



図3:阿里山周辺のLandsat TMナチュラルカラー画像(1990年7月22日撮像)
阿里山国家風景区は、山頂が準平原状になっている。玉山は台湾最高峰である。
台湾林野庁のHPでは、阿里山を含め台湾の森林に関する情報がWeb GISで閲覧できる。

また、1999年集集地震の特集ページが作成され、清水渓周辺の地すべり被害マップが見られる。


写真1:温帯林と暖帯林の境界付近の様子。
阿里山付近では標高1800m以上が温帯林になり、針葉樹が育つ。高度が下がると、ビンロウなどの熱帯林が現れる。
また中腹域では、茶の栽培が行われ、阿里山の高山茶として有名である。

 なお、本地理・環境専攻では2004年9月に台湾の中国文化大学とのセミナーが開かれ、台湾北部〜中部への巡検を行いました。
その写真記録が、本専攻HPに掲載されているので併せてご覧ください。


(※一部のリンクは、中国語のサイトです。ブラウザの言語設定を中国語(Big5)にして閲覧ください)

大学院地理・地域論コースM2 鈴木敬子

Back Number をみる