前回、ワイオミング州北西部を占めるイエローストーン国立公園の自然を紹介した。今回はその南に位置するグランドティートン国立公園である。「遙かなる山の呼び声」のテーマ音楽で知られる1953年アカデミー賞映画「シェーン」のロケ地。DVDケースには「緑麗しいワイオミングの高原地帯。シェーンは、旅の途中でスターレット一家の世話を受けるが、折しも、この地では開拓移民と牧畜業者の間で土地をめぐる争いが起こっており、スターレット一家もまた例外ではなかった...物語は西部劇のスタンダードだが、ワイオミングの美しい山間風景の描写と丹念かつリアルな人物描写を常に少年ジョーイの目を通して描くことで、映画に奥行きを与え、今もなお永遠の名作として名高い」とある。
　1800年代後半のアメリカ西部は、大陸横断鉄道が開通し、牛追い、牧畜、定住農業が土地の権利を主張し合う変革の時代だった。映画の台詞にもあるが、開拓農民が定住するためには、インディアンや牧畜業者が追い出される必要があった。

写真1　　イエローストーン国立公園内の大陸分水嶺、標高2558m。雨水はコロラド川を経て太平洋に注ぐか、ミズーリ川からミシシッピ川を経て大西洋に注ぐ。

写真2　Teton Rangeの夏の山並み。左からGrand Teton、Mt. St. John、Mt. Moran、Rock Chuk Peak。3000～4000m級の山々が連なる。