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VOL.16-05  2014年05月

  大震災からの復興(1)~福島県二本松市東和地区~


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写真1 なだらかな山並みが続く阿武隈高地にある二本松市東和地区 写真2 傾斜地に広がる農地と耕作放棄地  
阿武隈高地に位置する東和地区には、小規模な棚田や段々畑が多い。東和地区では、養蚕の衰退や米の価格支持政策の後退などの影響を受けて、耕作放棄地が1990年代以降急速に拡大してきました。
 
写真3 深刻化する獣害の被害

震災後、東和地区では獣害の被害が顕著になってきました。とくにイノシシの被害は深刻です。写真3の水田はイノシシの侵入を受けて、稲が倒されています。水田の周囲に、イノシシ除けを設置しましたが、効果は・・・?

写真4 東和地区の地域づくりの拠点となっている道の駅ふくしま東和

2005年に設立されたNPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会の事務局が置かれるとともに、農産物直売所、レストラン、ジェラート店などが併設されている。

写真5 NPO法人が進める里山再生計画・災害復興プログラム

特産加工品の開発や展示販売、営農支援、交流定住推進、健康づくりなどの諸事業を行ってきたNPO法人ゆうきの里東和は、震災後、様々な研究者や民間企業の支援を受けつつ里山再生計画・災害復興プログラムを実践してきました。空間線量や土壌検査、収穫された農産物の放射能検査などを行うことで、客観的なデータを蓄積してきました。その結果、多くの農産物の安全性が確保されていることも明らかになりました。http://www.touwanosato.net/kyougikai.html

写真6 道の駅には地域の特産品である桑の関連商品が並ぶ

NPO設立後に進展した桑の加工品開発。桑茶、桑パウダーは、道の駅ふくしま東和の人気商品。

写真7  アルコール・ツーリズムによる地域振興を目指す

 2012年に設立した「ふくしま農家の夢ワイン株式会社」。代表取締役の斎藤氏(写真)は、「自分たちが楽しみながら、新しい産業を興したい。ワインとシードルを都会で仕事に疲れた女性をターゲットに売り込みたい」と意気込んでいます

    写真8 ファーム・レストランも営業中

なめこ生産農家・武藤氏一家が始めたファーム・レストランは、自ら生産するなめこや季節ごとに異なる地場野菜、桑パウダーなどを使ったイタリア料理のコースメニューが人気。パティシエの資格を取得した息子さんが作る、なめこピザ、トローリプリンを羽山と棚田を眺めながらいただけます。

 
       
 写真9 羽山山麓に広がるリンゴ畑

羽山果樹組合に加入する農家は、リンゴやさくらんぼを栽培している。震災後、果樹の除染作業を進めながら、安全性を確保した特別栽培農産物を生産している。リンゴは贈答用として、100%果汁で生産されたリンゴジュースは万人が認める天然の甘さたっぷりの美味。  

    写真10 「国士舘大学西谷学校」開校中です

宮地ゼミでは、2009年度から東和地区の西谷集落で、中山間地域の農業について体験を通して学んでいます。現地の農家の皆さんが先生です。いつも温かいおもてなしをいただきながら、農業や農村の現状とともに、交流することの大切さを学んでいます。

 
       

参考文献
・宮地忠幸 2011.中山間地域における特産品開発の地域的意義に関する一考察.
国士舘大学地理学報告191-14
・宮地忠幸 2013.阿武隈高地に広がる新たな地域づくりへの挑戦.地図中心49512-17

写真1・5・6・7・9:2013年10月宮地撮影   写真2:2013年9月宮地撮影   写真3:2013年8月宮地撮影   写真4:2012年7月宮地撮影
写真8・10:2014年5月宮地撮影

                                          

                                              

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