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VOL.24-11
  2022年11月

  西アフリカの交易(2)さまざまな長距離移動

桐越 仁美


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 西アフリカは平坦な地形であることから、人びとが活発に移動し交流しています。ときには荷物の輸送のため、ときには家畜の放牧のため、人びとは数百~数千㎞の道のりを移動します。砂漠の近くでは家畜の群れをみかけますし、サバンナ地帯より南であれば大型のトラックや乗合バスなど、自動車による移動が目立ちます。植民地期には鉄道も整備されましたが、独立後の混乱や安定しない経済状況のなか、維持・管理ができなくなり放棄されたものがほとんどです。最近では再稼働を目指す動きもありますが、現在は自動車や家畜が現代の長距離移動を支えています。
 西アフリカの道を行くと、信じられない量の荷物を積んだトラックやバスを見かけます。過剰な積載により、路肩への横転は日常茶飯事となっています。過剰積載は非常に危険ですが、大量の荷物を積み込んだトラックが何台も行き来する様子からは、西アフリカらしい活気を感じます。また、数十~数百頭の家畜が道を横切ることも日常風景です。これらの家畜は牧畜民が放牧するもので、なかには長距離移動をしてきた家畜群であることもあります。今回は、西アフリカの長距離移動に関する写真を紹介していきます。
     
写真1 ガーナのステーション①    写真2 ガーナのステーション②
 アフリカの国々の大きな町には「ステーション」がみられます。日本でステーションといえば鉄道駅を思い浮かべますが、アフリカでは乗り合いバスや大型バスの停留所をステーションと呼びます。ひとつの街の中にはいくつものステーションが作られていて、ステーションごとにバスの行き先が異なります。
   
 写真3 長距離大型バス    写真4 幹線道路を行く乗り合いバス
 アフリカで乗り合いバスとして利用されているのは、ワゴンタイプの自動車です。最も多く見かけるのは、トヨタのハイエースですが、いろいろなタイプのワゴン車が用いられています。長距離バスや乗り合いバスは乗客の荷物も一緒に運ぶので、屋根の上やトランクにたくさんの荷物を積んでいることがあります。写真4の乗り合いバスは、トランクに積んだ荷物が多すぎて扉が閉まらず、ロープで扉を押さえています。 
 
 
写真5 大量の荷物を積んだ大型トラック    写真6 路上で大型トラックに炭を積み込む人たち
     
     
 写真7 砂埃を巻き上げて走る大型トラック    写真8 車列を組む大型トラック
 一度に多くのものを運びたい人びとは、独自の方法で荷物を積み込みます。どうして崩れないのか不思議なほど高く積まれた荷物にはいつも驚いてしまいます。また、ついでにものを運ぶ様子もよく見られ、写真5では荷物に自転車が一代括り付けられています。しかし、幹線道路だとしても舗装されていない(あるいは舗装しているが穴だらけ)ということも多く、荷物が汚れたり、トラックが横転してしまうということも多いです。  
     
     
 写真9 牛の長距離放牧    写真10 砂漠を行くラクダの群れ
 内陸の乾燥地では、家畜が群れを成して長距離移動をしている様子もみられます。砂漠ではとくに、自動車よりラクダの方が使い勝手が良いことも多いです。写真10は牧畜民の家族がラクダの群れを連れてニジェールからナイジェリアへと移動している様子です。
 
  <写真1~10:桐越 仁美 撮影>



                                              

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