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VOL28-3

2026年3月

  「宇都宮LRTと東京BRT」

岡島 建

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 近年注目されている新しい交通システムとしてLRTとBRTがある。語感が似ているがLRTは路面電車、BRTは路線バスの進化形である。
 LRTはLight Rail Transitの略で、和訳としては「軽量軌道交通」「軽快電車」があり、「次世代型路面電車」とも言われる。都心部では併用軌道でトランジットモールなど歩行者にも近接、郊外部では専用軌道で速度を上げる。1970年代から欧米を中心に世界各国で展開している。日本の路面電車のうち、専用軌道比率の高い江ノ島電鉄、広島電鉄宮島線、東急世田谷線などをライトレールとする場合もあるが、2006年開業の富山ライトレール(現、富山地方鉄道富山港線)を日本初のLRTとし、2023年開業の宇都宮ライトレールを二番目とするのが一般的である。
 写真Aは宇都宮ライトレールの起点である宇都宮駅東口で、新設の路面電車としては現、万葉線以来75年ぶりで、宇都宮駅東口-芳賀・高根沢工業団地(写真B)間14.6kmを開業した。宇都宮市の都心部は宇都宮駅西口側で、東口側はテクノポリス構想による都市開発が進められ、公共交通空白地域であったことからその主軸輸送機関としてのLRT導入である。現在は工業団地のほか、大型ショッピングセンター・宇都宮大などの学校・スポーツ施設が立地し、住宅団地も開設されており、多くの利用客がある。路線の中央部、鬼怒川を越える区間は農地が広がる田園地帯で専用軌道となっている(写真C・D)。写真Eは車内の様子で、ワンマン運転であるが全てのドアにICカードリーダーを設置(写真F)する信用乗車方式を採用しており、日本ではほとんど例を見ない画期的なものである。
 現在岡山で既存路線のLRT化、岐阜などでLRT新設が検討されている。

   

<写真A>

   

<写真B>

       
   

<写真C>

   

<写真D>

 
   

<写真E>

   

<写真F>

     
 BRTは、Bus Rapid Transit(バス高速輸送システム)の略で、連節バスや専用走行空間、優先信号などを組み合わせ、バスの利便性・速達性・輸送能力を向上させた次世代型のシステムである。世界各国で導入されているが、世界初のBRTは1974年にブラジルのクリチバであり、ラテンアメリカが先進地となっている。日本では廃線跡の路盤を使ったバス専用道によるJRバス関東白棚線(1957年開業・国鉄バス白棚線)や名古屋市の中央走行式基幹バス(1985年開設)の例もあるが、これらはBRTとは呼ばず、近年に導入されたものを指す。ローカル私鉄の廃線跡や災害復旧できない鉄道路線をバス専用道として導入された事例と、都市中心部において連節バスや大型バスを用いるが一般道を走行する事例がある。
 後者の例で東京オリンピック2020を契機とする都市開発の通勤輸送を担うために開設されたのが東京BRTである。専用道ではないが、東京環状2号線の築地・晴海地区開通によっている。新橋駅前や虎ノ門ヒルズと晴海地区や有明・国際展示場を結ぶ複数の系統がある。写真Gはゆりかもめ高架下の新橋停留所、写真Hは国際展示場駅前、写真Iは連節バス、写真Jは環状線走行風景である。今後は昭和通り経由で東京駅乗り入れが計画されている。
 
   

<写真G>

    <写真H>
       
       
<写真I>     <写真J>
       
     (写真A~Fは2025年8月、写真G~Jは2025年9月いずれも岡島 建撮影) 



                                              

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