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VOL27-07

2025年07月

  「南米ペルー,クスコからワヤワヤ峠へ」

佐々木 明彦

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 アンデス高地の地形システムを明らかにすることを目的に2004年にペルーアンデスを訪れた。はじめに首都リマから空路でクスコに入り,そこから車で移動しながら地形の調査を行った。今回の地理写真では,クスコを離れてからアマゾン川流域との分水界に至るまでに見た自然景観などについて紹介する。

   

写真1 クスコから南東に車で進みウルバンバ川の河谷に下りてきた。ウルバンバ川はここから北流し,有名なマチュピチュの側を通過し,ペルーからブラジルに出てアマゾン川に流出する。

   

写真2 ウルコス(Urcos)郊外からサルカンタイ(6,271m)の山域を遠望できた。サルカンタイへのトレイルは,いわゆるインカ道のひとつとされている。

   
写真3 我々は日本車のMつびしPジェロを借り上げ,現地ドライバーに運転してもらった。20年前の車道は未舗装区間が多く,巻き上がる砂塵が車内に極力侵入しないように,ドライバーはドアの隙間に水で濡らした布を挟む工夫をしていた。    

写真4 オコンガテ(Ocongate)の中心にある広場。ここからアウサンガテの山麓に向かう。人の多い町はここが最後になる。

       

写真5 アウサンガテ(6,394m)の直近に至り,標高差2000mの北壁を仰ぐ。アウサンガテはペルーで4番目の高峰であり,インカの民ケチュア族にとっての聖なる山である。

   

写真6 車から下りてアウサンガテを眺めていると,あっという間に人が集まってきた。ケチュアの皆さんはとても人懐っこく,ドライバーや我々のメンバーとの話が弾む。もちろん,私はただニコニコしているだけであった

   
 写真7 コルケプンコ峰をはじめとする標高5,500m以上の山々は氷河を抱いている。氷河の末端の高度はおよそ4,800mであった。氷食谷が下方に続いていく。      写真8 現在の氷河の末端から10 km下流では,氷食谷が巨大な沖積錐で閉塞されていて,上流側には湖(アンパトゥネ湖)が形成されている。
   
 写真9 沖積錐の下流側の谷底を掘削して堆積物を採取し,放射性炭素年代を測定したところ約9,000年前という年代が得られた。この付近は完新世の初頭には氷河から解放されていたらしい。      写真10 標高4,730 mのワヤワヤ(huaylla huaylla)峠。ここはアマゾン川流域とクスコ地方とを分ける分水界のひとつである。ワヤワヤ峠付近は氷食台地となっており,近傍には解氷された複数のカールがみられる。
 
   写真は2004年7月18・19日に佐々木明彦が撮影した。)



                                              

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