学問カフェテリアSpecialレクチャー 地理・環境学://サンゴの海を守れ
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褐色藻を吐き出してしまうと白化を引き起こし(ワク内)サンゴは死んでしまう。
3rd 白保サンゴ礁の自然と現状 サンゴ礁の白化現象

私が初めて沖縄県・石垣島白保のサンゴ礁を訪れたのは、1980年のこと。もう20年前のことです。最初の調査で、当時知られるようになってきた北半球最大のアオサンゴの大群落に出合いました。以降、1989、94、99年と石垣島の全島調査を実施しています。私が研究するサンゴ礁は生物がつくる最大の地形で、その主体・造礁サンゴは褐虫藻という藻類を住まわせ、これらの光合成で生成する栄養分で石灰質の骨格をつくるのです。

造礁サンゴは褐虫藻とともに生きています。しかしこれを、サンゴが吐き出し、そのまま褐虫藻が戻らないと、白化を引き起こし、死に絶えます。白化の原因は、エルニーニョ現象による海水の高温化と考えられています。しかし、局所的に起こる白化現象はさほど水温が高くない時期にも起こることもあります。沖縄では大規模な土地改良事業で平坦になった農地から降雨のたびに、海へ流入する赤土が、サンゴを弱らせたり、白化の一つの原因と考えられるようになったのです。
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