VOL.15-01 2013年01月
「シリアの風景 ユーフラテス川中流にて」
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以前(2008年3月)のこのページで「ユーフラテスの漁師」、「シリアの鉄道」という写真を載せたことがある。また、「ある国でみた列車事故」という写真も載せた。ある国とはシリアのことだ。この時は、世話になった方や現地の人のことを慮って国名は伏せた。短い滞在経験しかないシリアだが、私はとてもこの国が気に入ってしまいすぐにでも再訪しようと思っていた。隣国の国境近くの町へはその後もたびたび行っているので、その気になってタクシーを乗り継げば国境通過がややこしいだけで簡単に行けたはずだ。ようはこの半日の手間が面倒くさかったのだ。初めて訪れた2007年当時も、アメリカやイスラエルとの関係は悪かったし、何となく雲ゆくが怪しかった。ただ、この国ではいつものことなんだろうと思っていた。「アラブの春」の影響が程なくこの国にも及び、そのうち内戦である。滞在時に面倒をみてもらった方々はどうしておられるのか・・。映像となじみのある地名をみるのが辛くて中東のニュースサイトはここしばらく避けている。 田舎道を何日も付き合ってくれ、気心を知り合ったつもりでいた運転手が最後に法外なチップを要求したり、食い物で体調をこわしたり、ダマスの安ホテルで帳場のオヤジに領収書をくれと言うと「我が国にはそのような習慣がない」と返され腹を立てたりと面白くない思い出もある。「内戦が終わっても、武器が出回ってしまったから十年は行けないよ」と事情通は言う。2012年の暮れ、近所のとあるお宅を訪問した。年配のご主人は長らく商社に勤めていて中東での駐在経験もあるという。奥さんを紹介する際に「妻はムスリムではなくシリア正教会の信徒」と言われた。「アレッポの出身で、むこうはいま酷いことになっている・・・」とぽつりと。顔立ちがアラブ人ではない奥さんは、語りたくないのかその話に乗ってこない。私はといえば「石鹸で有名なアレッポですか・・・・・」と返す言葉に困ってどうでも良いようなことしか言えない。 今月の地理写真、正月らしい別のテーマを考えていたがこんなこともあったので、シリアに早く平和が戻りますようにと祈念しつつ、思い出写真を並べてみた。 |
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写真1 地中海からの風 扁形樹 |
写真2 荷物を満載したトラック | ||
地中海からの風は海岸に沿う山地で遮られるが、東西方向にのびる狭さく部が何カ所かあり、そのような場所ではごく狭い範囲に扁形樹がみられる。 | ラッカ(ユーフラテス中流北岸にある農産物の集散地)からアレッポ方面へ向かうトラック。袋の膨らみ具合や時期からみて、積荷は綿花かもしれない。 | ||
写真3 アラブ風サンドイッチ | 写真4 | ||
街道沿いの店屋で食べる昼食はたいていがこれ。その場で作ってくれ、とてもウマイ。ただ、田舎へゆくと「ぜったい腹をこわすよなぁ」というような衛生状態で作ってくれるので(実際にひどいめにあった)、ウマイが怖い。 | 日干しレンガを組み上げて作った建物。何という名称か知らない。Webで画像検索をかけたら、「アレッポとホムスの間にテル・マルディック村という小さな村・・・」という解説で同じような写真が載っていた。 | ||
写真5 | |||
写真6 |
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荒地の中にポツンとあった店。品数は極めて少なくメインは飲み物。この写真は考古学の人たちにくっついて遺跡をめぐる小旅行をした時のもの。中央の人物がこの時のボス。怪しげな温いジュースを飲んでかわきを癒やした。戸口の絵は「魔除けの目玉石」と同じような意味を持たせてある? | ユーフラテス川中流域の北岸で。ここでは、耕地の中を用水路が巡らされている。 | ||
写真7 |
写真8 |
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テル(遺構丘)上の三角点(持ち歩いた旧ソ連の地形図に載っていた)。このテルは現在墓地として利用されている。背の高い人は、雇った車の運転手。 | 調査している私たちの後を興味深げについてきた子供たち。背景は墓地。 | ||
写真9 | 写真10 | ||
道を聞いたら「まぁ寄っていけ」とティータイム。女性が接待のために顔を見せることは極めてめずらしいと思う。このお宅は日干しレンガの家。 | 猟銃を持って集落内を歩いていた人(右3人目)に道を聞いたら、「寄っていけ」ということになった。コンクリートの土間にじゅうたんを敷いた屋内はとてもきれい。じゅうたんを日干ししている家もあった。 | ||
写真11 |
写真12 | ||
段丘の上から眺め下ろした集落。家の周囲は日干しレンガで柵がめぐらしてある。ヒツジのための囲いかもしれない。このあたりの集落はどこも似たような景観。背景は段丘ではなく溶岩台地。 | ユーフラテス川の段丘堆積物 。裸地ばかりなのに、思いのほか段丘の露頭は少ない。 | ||
(写真は,2007年8月に長谷川均撮影) |