私は、日本近代史を教えている佐々博雄<さっさひろお>といいます。出身地は九州、熊本市です。私が日本近代史を専門に研究するようになったのは、勿論、卒業論文で近代史を扱い、さらに中央大学大学院において日本近代を専攻したことが直接の契機ではありますが、思いかえせば、そこに至るまでにいろいろな近代史料との出会いがありました。
 
まず、最初に触れた近代史料は、国立国会図書館憲政資料室所蔵の史料です。大学に入りたての私は、たまたま、熊本の親戚から憲政資料室への寄託文書を預かり、当時憲政資料室におられた大久保利謙先生のもとへ届けに参りました。その際、私が持参した国友重章関係文書について先生から詳しく説明をいただいたのが、近代史料に触れた最初でした。

 

 
  次に、私が触れた貴重な史料は、外務省記録です。昭和46年に完成した外務省外交史料館において翌年「日本外交史辞典」編纂事業が始まり、私は、そのスタッフとして編纂の手伝いをすることになり、編纂会議の準備や項目選定の下調べなどを行なうために史料館所蔵の膨大な記録に直接触れることができたのです。これらの史料との出会いは、その後の、私の研究テーマのひとつである近代地方政党と対外問題の研究に、おおいに役立っています。

 担当科目は、「日本史概説B」「日本史の基礎B」「近代史料を読む」「史料学実習TU」「日本史演習T」「日本史演習U」「日本近代史A」「日本近代史B」と大学院人文科学専攻修士課程の「日本史特論」「日本史講読」を受け持っています。これらの授業のなかでも、1・2年生で履修できる「史料学実習」は、本学独特の科目で、歴史研究に欠くことのできない原典史料を直接扱う実習科目です。この授業では、実際の古文書などを使い、史料の読み方、保存、整理、管理の方法などの実践的授業を実施しており、3・4年生で行われる学外実習授業や卒論研究の基礎ともなる授業です。歴史を学ぶ上での喜びのひとつに史料との出会いがあります。是非,史料に触れて、その喜びを実感してください。「日本史演習TU」のゼミでは、おもに史料を使って東アジア地域への日本政府の政策と民間人の交流活動について研究、検討、発表をおこなっています。また、ゼミでは、授業のほかに卒論指導も行っています。昨年の卒論題目には「新潟県中頚城郡の地租改正事業について」「長州藩諸隊の脱隊騒動と農民一揆の関係について」「埼玉県における満州分村移民」「近代日本人移民と宗教の関係」などがあります。

<論文>
 「日清戦争と通訳官」『日清戦争と東アジア世界の変容』ゆまに書房、「日清貿易商会構想と日清貿易研究所」『アジアの教育と文化』巌南堂書店、「熊本国権党と朝鮮における新聞事業」国士舘大学人文学会紀要9号、「国民自由党の結成と九州国権派の動向」国士舘大学人文学会紀要別冊2号、「海外協会と地域社会」国士舘史学6号など。

<学会活動>
東アジア近代史学会常任理事、同学会機関誌『東アジア近代史』編集委員長。中央史学会評議員。日本国際政治学会会員。日本歴史学協会会員。日本歴史学会会員。熊本近代史研究会会員。